債権回収に注意を要する業種

・債権の消滅時効

債権は、時効が中断する事由のないまま一定の期間を経過した場合、債務者が時効を主張することによって消滅し、債権者はその債権を回収することができなくなります。

これが債権の消滅時効です。

消滅時効の期間は、個人間の一般的な貸し借りの場合には10年間、会社間の取引や家賃の場合には5年間と法律で決まっていますが、中には、これよりも短い時効の期間が定められているものがあります。

そのような短期の消滅時効が定められている債権の回収の場合には注意が必要です。

 

・短期消滅時効が定められている債権

短い時効期間が定められている債権のうち代表的なものは以下のとおりです。

 

(1) 時効期間が3年と定められているもの

医師、薬剤師による診療報酬債権
建築工事の請負代金債権
自動車の修理代金債権
交通事故などの事故による慰謝料請求を含む損害賠償請求権

 

(2) 時効期間が2年と定められているもの

物品販売の売掛金を含む代金請求債権
理髪業やクリーニング業などのサービスの代金債権
塾の月謝債権
学校や各塾の授業料や月謝、謝礼金債権
給与債権(なお、退職金債権は5年です。)

 

(3) 時効期間が1年と定められているもの

週給・日給の給与債権
大工、俳優、演芸を業とする者の報酬債権
運送賃
旅館やホテルの宿泊費、料理店・飲食店などの飲食代金債権
野球場や映画館の入場料債権
レンタルDVD屋やレンタカーの利用代金債権

 

・時効を中断させるためには

時効を止めるために、法律では、「時効の中断」という制度があります。

これは、時効期間の進行を中断させ、これまで進行してきた時効期間をリセットするものです。

時効中断の方法として、一般的には以下の3つの方法がよく用いられます。

まず、裁判による「請求」です。具体的には、訴訟を提起することです。

次に、差押え,仮差押え,仮処分です。民事執行による差押えや民事保全による仮差押え、仮処分により時効が中断します。

3つめは債務者による債務の「承認」です。

たとえば、公正証書などで債務弁済契約書を作成されている場合や債務者が支払猶予の申入れをするなどして債務があることを認めた場合です。

なお、裁判によらずに、たとえば内容証明などで債権の支払いを請求することは、法律上は「催告」と呼ばれ、上述した「請求」にはあたりません。

「催告」だけでは時効は中断しません。

「催告」をすると、時効は中断しませんが、6か月の猶予が与えられます。

つまり、催告後6か月以内に裁判や差押えなど(上記の3つの時効中断方法のいずれかの方法)を行うことで、正式に時効が中断します。

そのため、時効完成が直前であるものの正式の中断措置をとる時間がないという場合には、とりあえず内容証明による催告をしておけば、時効完成を6か月だけ延ばせます。

このように、債権回収においては、債権が時効により消滅しないよう、時効期間を管理することが不可欠です。

そして、時効中断には、「請求」という裁判所を介する手続きをしなければならない場合が多いため、回収できないおそれのある債権がある場合は、お早めに当事務所にご相談ください。

また、当事務所と顧問契約を締結していただているお客様には、割安の弁護士費用で債権回収業務をご提供することができます。

低いコストで、債権が時効により消滅してしまうのを防止することができます。

 

お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る