遺産分割調停とは

・遺産分割調停の流れ

被相続人による生前贈与や寄与分などの主張、遺産の範囲やその価格等について相続人全員の間での話し合いによる遺産分割協議がまとまらない場合や、話し合いに参加しない相続人がいる場合には、相続人は家庭裁判所に、遺産の分割を請求することができます。

その家庭裁判所で一般的にまず行われる手続きが遺産分割調停です。

遺産分割調停とは、家庭裁判所で、裁判官(1名)と裁判所側が手配する仲裁人である調停委員(通常は2名)を交えて行う、相続人間の話し合いです。

調停委員が各相続人の意見を聞き、法律的な意見や妥当な遺産分割案についてアドバイスや指導、場合によっては説得をしてくれます。

この遺産分割調停では、全相続人が1つのテーブルで一堂に会して話し合うのではなく、交互に家庭裁判所の調停室というところで自分の主張を調停委員に伝えます。

すなわち、ある相続人が調停委員に主張を伝えたら一度調停室を出て、他の相続人が調停室に入って自分の意見を伝えるといったように、交互に調停委員を通じて自分の主張を伝えます。

各相続人の主張を聞いた調停委員は、各相続人に解決案を提示したり、アドバイスをしたりして、遺産分割が成立するように調整をします。

遺産分割調停は、1回で終わることは通常少なく、3か月から長い場合には1年以上かかる場合もあります。

遺産分割調停により、相続人全員が合意し、遺産分割が成立した場合には、その遺産分割の内容が調停調書という書面に記載されます。

この調停調書には、確定判決と同一の法的効力があり、仮に遺産分割調停がまとまったにもかかわらず、調停調書に記載された遺産分割の内容に従わない相続人がいる場合には、強制執行等により、調停調書に記載された遺産分割の内容を実現させることができます。

しかし、この遺産分割調停は、家庭裁判所を介していますが、あくまでも話し合いですので、相続人全員が合意しなければ遺産分割は成立しません。

つまり、遺産分割調停は訴訟ではなく、あくまでも各相続人による話し合いにより円満に遺産分割を成立させることが目的ですので、調停委員には強制力があるわけではなく、調停委員の提案する解決案やアドバイスに拘束力はありません。

そのため、調停委員や裁判官からの遺産分割案に納得しない相続人がいたり、遺産分割調停を申し立てても出席しない相続人がいたりする場合には、調停は成立しません。

調停が成立しなければ、原則として遺産分割審判に自動的に移行することになります。

遺産分割審判では、各相続人が、訴訟のように書面で事実・法律上の主張やそれを裏付ける各種の書類や資料を提出し、それらに基づいて家庭裁判所の家事審判官(裁判官)が遺産分割の内容について審判を下します。

この審判も、判決と同じように法的拘束力があり、これに基づき強制執行を行うことが可能です。

 

・遺産分割調停を弁護士にご依頼するメリット

遺産分割調停や遺産分割審判において、もちろん相続人本人が申し立てて期日に臨むこともできますが、生前贈与や寄与分、特別受益など法律の知識が必要な場合も多々あります。

また、調停委員や裁判官は当然には片方の相続人の味方になってくれるわけではなく、自分の主張を伝えるだけでは自分に有利な結果にはならないこともあります。

中には、自分1人で話すのが苦手な人もいるでしょう。

それらの場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

交渉の専門家でもある弁護士に依頼することにより、弁護士を遺産分割調停や遺産分割審判に同席させることができ、自分の主張を法的側面からも展開でき、早期の解決が見込めます。

なお、遺産分割調停では原則として、弁護士に依頼しても相続人本人の出頭が必要となりますが、場合によっては、代理人弁護士のみの出頭で足りる場合もありますので、その点でも安心です。

いずれにしても、遺産分割調停を申し立てたいという方のみならず、遺産分割調停を申し立てられたという方についても、一度弁護士にご相談いただき、ご本人の利益や不利益を最大限考慮し、法律的に適切な主張を展開することが重要です。

 

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