・休業損害とは
交通事故によって傷害を負った被害者の方は、傷害の程度によってはその後仕事をすることができなくなるということもあります。
その場合、交通事故による傷害によって本来得ることができた収入が得られなかったとして、加害者または加害者の保険会社に対して本来得られた収入分の損害を賠償請求できることがあります。
この本来得られた収入分の損害が休業損害です。
・休業損害の計算方法
休業損害の計算方法にも、自賠責基準と裁判基準とがあります。
自賠責基準によると、5,700円×休業日数で算出されます。
裁判基準によると、1日あたりの基礎収入×休業日数で算出されます。
弁護士に依頼した場合、弁護士が加害者又は保険会社に請求する休業損害の計算方法は、もちろん裁判基準によります。
ここでいう基礎収入は、被害者の働いている形態によって考え方が異なってきます。
まず、給料の変動の少ない会社員や公務員の場合には、交通事故前の給与明細や源泉徴収票等によって容易に計算することができます。
次に、収入の変動が比較的大きい自営業の場合には、交通事故前の確定申告書等を基に基礎収入を算出することが多いです。
会社役員の場合には、原則として役員報酬は休業損害の対象とはなりません。
もっとも、例外的に、1人会社のように、役員ではあるが従業員としての仕事もしている役員の場合には、労務提供の対価分については休業損害が認められることがあります。
アルバイトの場合には、時給制か日給制かによっても変わってきますが、基本的には交通事故前の収入を基に基礎収入が算出されることになります。
また、家事従事者、いわゆる専業主婦の場合には、裁判基準では賃金センサス(日本の賃金に関する統計)の産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均賃金によって算出されることがあります。
例えば平成26年では9,983円(364万4120円÷365日)となります。
このように被害者の方の仕事内容によって休業損害を請求できる場合とできない場合、また、請求できる金額が複雑に変わってきますので、休業損害を請求したい方は、一度、当事務所にご相談ください。