勘違いされることの多い自己破産

自己破産というと何もかもを失う悪いイメージに感じる方も多いかと思いますが、自己破産は債務の完済の目途が立たない債務者を救済し、生活の再建を図るために認められた制度です。

このように、負い目を感じる必要はありませんが、上記のような悪いイメージからか、自己破産について誤解が多いように思います。

 

・自己破産のデメリットとその実際

債務が免除される自己破産をすると以下のようにいくつかのデメリットは確かにございます。

すなわち、①まず、官報に破産手続きがなされたことが掲載されます。

しかし、この官報は、普通に売っている新聞と違い、一般の書店では売っていませんので、普通の人は読みません。

官報に載ったからといって、即座に周りに自己破産をしたことがわかってしまうということは通常はありません。

②次に、市町村役場の破産者名簿に記載されます。

しかし、この破産者名簿は、市町村が公的な身分証明を発行するための内部資料に過ぎず、普通の人は見ることができませんし、免責許可決定がされれば抹消されます。

③また、自己破産をすると一定の職業(弁護士、公認会計士、司法書士、税理士などの一定の資格所有者、生命保険募集員、警備員、建設業、会社役員等)に就くことができませんが、破産手続きが終了すればまた就くことができます。

④いわゆるブラックリストに載るのでローンやクレジットを利用することができなくなりますが、いつまでも利用できないというわけではなく、5年~10年が経過すればまた利用できるようになります。

⑤さらに、破産管財人が選任された場合には、自己破産手続中は自分の財産を勝手に管理、処分できなくなりますが、自己破産手続を終了すれば、また処分することができるようになります。

⑥破産管財人が選任された場合には、破産管財人や債権者集会の要請に応じて必要な説明をする必要があり、住所の移転や長期の旅行は裁判所の許可なしにはできなくなります。

しかし、これも自己破産手続終了後には可能になります。

⑦また、ほとんどありませんが、制度上は裁判所が必要と認める場合には身柄を拘束される場合があります。

⑧なお、破産管財人が選任された場合には、自己破産手続中は郵便物が破産管財人に配達され、受け取った郵便物を開封されますが、これも自己破産手続終了後には自分で郵便物を受領できるようになります。

以上のようなデメリットはありますが、どのデメリットも、ほとんどの方には影響の少ないデメリットばかりです。

 

・自己破産で誤解されていること

自己破産のデメリットは以上ですが、自己破産をすると不利になるのではと誤解されている点をいくつか説明していきます。

まず、支払い義務について、自己破産をしたからといって、家族が保証人になっていなければ、家族に支払い義務はありません。

次に、自己破産をしたからといって、自分の戸籍謄本や住民票に自己破産をしたことが記載されることはなく、周りに(家族にさえも)自己破産をしたことがわかることはほとんどありません。

つまり、勤務先等にも自分で言わない限り、自己破産をしたことを知られることはありません。

なお、勤務先が従業員の自己破産を知ったとしても、破産を理由に解雇することは違法となります。

また、公的な事項についていうと、自己破産をしたからといって、健康保険に入れなくなるということはなく、選挙権などの公民権が停止されることはありません。

自己破産により原則としてすべての財産を失うのですが、広く例外が認められており、最低限生活に必要な家財道具(パソコン、テレビなどを含む)や衣服などを失うこともありません。

以上のように、自己破産は、デメリットの少ない債務整理の方法ですが、場合によっては、デメリットになることもありますので、一度弁護士にご相談ください。

 

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